HOME > インタビュー > フリーランスのライターとしてお仕事をしている矢口さんへインタビュー

インタビュー

Tags:

ライター 矢口絢葉

LINEで送る
Pocket

フリーランスのライターとしてお仕事をしている矢口さんへインタビュー

印刷会社と編集プロダクションを経てフリーランスのライターに

フリーランスライターの矢口絢葉さん

――自己紹介をお願いします。

フリーランスのライターの矢口絢葉(やぐち あやは)と申します。

――今の仕事に就いたきっかけを教えてください。

私は1983年に大阪で生まれ、関西の大学を経て、神保町の印刷会社に就職しました。その後、トラベル系の編集部に入りなおし、編集の仕事をスタートしました。

本格的にライターになろうと思ったのは、2008年、「R25」や「みんなの経済新聞」などを手掛ける「有限会社ノオト」に転職した時です。

同社は、フリーペーパーから雑誌、ムック、書籍、新聞、ウェブ、広告までを手掛けるユニークな編集プロダクションです。

私はここで、ライターあるいは記者として取材記事を書いたり、編集として赤字をいれたり、企業の広告を作ったり、デザインのラフを切ったり、撮影をしたり、そんなことをして過ごしました。

小さな会社でしたから、基本的に自分たちで何でもやります。肉体的にはツラかったのですが、毎日がお祭り状態! とても楽しかったですね。

この会社で5年間みっちり働き、得た経験と人脈を元手に、ライター・編集者として2012年に独立しました。

元々ライターになりたいというのは考えていました。

幼いころから本が好きで、両親が長所を伸ばす教育スタイルだったこともあって、国語能力だけ突出して育ちました。とはいえ、ほかに取り柄がなかったので、物書きが天職なのだろうと信じて疑っていませんでしたね。

先輩方が次々と独立されていくのを見て、私もそこを1つのゴールに設定していました。

ただ、駆け出しの身から見れば、独立のハードルはヒマラヤ級で、フリーになれば「書く力」「聞く力」「人脈を築く力」、どれが欠けても飢え死にです。だから、まずはこの3つの能力を高めることを念頭に仕事をしていました。

ある時急に視界が拓ける

――仕事を始めてどれぐらいで慣れましたか。

周囲の反応が劇的に変わったのが4年目でした。早い人は1年でもさくっとコツを掴みますから、私は遅い方だと思います。

勤め始めて3年間は、もう失敗のオンパレード! 

業界用語を間違えて使っていたり(赤っ恥です)、編集者として赤字をうまく入れられずにライターさんを怒らせたり、ギャラの話はセンシティブということを知らず金額について口をすべらせたりしました。

よくクビにならなかったものですが、失敗をし尽くしたあたりで、視界がパァッとひらけた感がありました。

今まで見えなかったものが急に見えはじめ、責任ある仕事を任せてもらい、記事でもホームランと言っていただけるものを出せるようになりました。

――仕事をする上で必要な技術や心構えはありますか。

ひとくちにライターといっても、私のような取材中心のオールラウンド型もいれば、専門の業界に強いプロフェッサー型もいて、職種自体もブックライターやルポライター、シナリオライター、コピーライターなど多岐にわたります。

必要な技術や能力も職種に応じて変わりますが、共通して必要なのは、「書いて伝える力」はもちろん、「相手の心の声まで聞きとる力」や「自分を売り込む力」ではないでしょうか。私もまだまだ試行錯誤の最中です。

仕事中は「正確に聞くこと」&「正確に書くこと」に一番気を使います

――普段の仕事で気を付けていることはありますか。

取材原稿を作る流れは、ざっくり言うと「対象にアポイントをとる」→「取材をして材料を集める」→「材料を組み立てる」→「書く」→「推敲する」→「完成」(納品)という形です。

取材中は、相手の主張をまちがいなく理解することに集中します。あとは、相手がベストパフォーマンスを発揮できる状態にあるかなどを表情や口ぶりから観察します。同時に、書くときに足らない材料はないかをチェックしています。

一方、書くときになって第一に考えるのは情報の正確性で、次に読みたくなる原稿にすることです。読んだ人に笑ってもらえるかどうかは、ライターの腕の見せどころ! なのでしょうが、面白い人の原稿を見ながら勉強する日々です。

――仕事で困ったトラブルなどはありますか。

インタビューをする際は、対象の来歴や仕事、本、発言などを徹底的に調べてから臨みます。

今なら当然のことですが、駆け出しのときは甘い考えで調べを怠り、失礼を働いたことがありました。取材を引き受けてくれた人に対して感謝の気持ちと、プロであることに対する尊敬が足りなかったのです。

当時は結局、相手の機嫌をそこねてしまい、聞ける話も聞けませんでした。あれ以来、事前調査は慎重に! を肝に銘じましたね。

――1日にどれぐらい仕事されていますか。決まった休みは取られていますか。

最近は平均すると1日8時間くらいでしょうか。〆切が近かったり、興がのったりしているときは、机に向かって24時間くらいダーッと書いていることもあります。

ぼちぼちやって「あーこりゃ無理だ」となれば4時間くらいで諦めて、散歩に出たり、本屋に行ったり、寝たりします。

ノオトに勤めていた時代は、基本的に土日がお休みだったのですが、フリーになってからは土日の概念がなくなりました。

でも、取材日をうまく固めれば、10日くらい家から出ないことも可能です。ということは、仕事道具のパソコン1台持っていけば、海外に行ってもいいわけです!

実際は怖くてできないわけですが、いつかそれくらい上手にスケジュールをさばける人間になりたいです。

――忙しい時期や時間帯はありますか。

ゴールデンウィーク、お盆、お正月など、世間が長期休暇をとる前はあわただしいことが多いです。印刷所の稼働が止まるため、前倒しで制作するのです。

抱えている仕事全般がそんな動きをした日には、徹夜、徹夜になって、休みを迎える頃には燃えつきます。

いつもボーゼンとしていたら連休が終わっているので、今年こそ計画的にバカンスを楽しみたいです。

――働いている中で良かったことは?

納品した記事に対して、クライアントから「これを待っていた!」「頼んでよかった」と言っていただけたときはうれしいです。読者からの反応がいいとホッとしますし、知人から褒めてもらえると「ヤッター」という気持ちにもなります。

ライターの入門書なら『文章力の基本』や『プロ文章論』がオススメ

――取材の中で何か発見があったりということはありますか。

それはもう、発見の連続です。普通なら絶対に会っていただけない研究者、クリエイター、芸能人など、その業界の一流にまだ誰も知らない最新の話を聞きにいけるので。

内容はもちろんのこと、話し方から、ファッション、ふるまいに至るまでを直に見て学べるのは役得ですよね。

――イマイチなことはありますか。

取材は一発勝負、こちらも気を引き締めて臨むので、イマイチということはまずありません。が、もしイマイチだったとしたら、非は当然、私にあります。

回答が聞きたい内容からズレているなら、あらためてテーマの説明をして、軌道修正をしなければなりません。うまく話を引き出せないなら、角度を変えて繰り返し聞きます。

相手がベストな状態にないなら、ゆっくりと回答を待ち緊張をほぐすことを考えます。

それでも私の力量がたらず、満足な答えがもらえなかった時は、世に出す価値のある原稿は作れません。取材前は本当に緊張します。

――この仕事で参考になる書籍やホームページはありますか。

基礎固めをするという意味で『文章力の基本』(阿部紘久/日本実業出版社)がオススメです。紹介された77の文章テクニックを踏まえるだけでも、笑えるくらい上達します。

出版界のヒットメーカーにしてフリーライターの星、上阪徹さんの『書いて生きていくプロ文章論』(ミシマ社)や『職業、ブックライター』(講談社)なども面白いですよ。

聞き上手、専門知識が豊富、顔が広い…そんな人が向いている

――この仕事に向いている人、向いてない人はどんな人だと思いますか。

書く仕事なので、書くことが苦にならないのは前提として、人の話を聞くのが上手な方、専門家クラスの知識をお持ちの方、顔が広い方などが向いている気がします。若手のうちは、それらを補うガッツがあれば大丈夫です。

書くのが好きという方は、作家とは仕事の方向が少し違うので、自分の個性や主観をいったん置くことができないとツライかもしれません。

最近うらやましいと思うのは、語学が堪能な方です。最先端の情報を探していると、外国語の壁にぶちあたることが多いんです。日本語も長けていて英語がペラペラ! という人材は重宝されるのではないでしょうか。

自分の記事で誰かが笑顔になり、読んでよかったと思ってくれることが誇りです

――今の仕事で誇りに思っていることは?

ライターは、技能を証明できる資格もなく、名刺に印刷すれば名乗れる職業です。

でも実際、最前線にいるのは、伊集院光かあるいはマツコ・デラックスかという知識量、そして持てる限りの技術を駆使して勝負している人たちです。しかも、みんな個性が強くて魅力的! 

“書くのが好き”というだけでは通用しない世界であることを痛感しますし、私もおのれの至らなさに毎日愕然としています。

それでも、優秀な編集者、カメラマン、デザイナーと仕事をさせていただけるのは本当に幸せなことです。そうやって完成した成果物は、すべて誇りに思います。

かつ、読んだ人が笑顔になってくれたり、読んでよかったと思ってくれたりする人がいれば、こんなに幸せなことはありません。

会社に属するメリットは大きい

――ライターになりたいと思っている方へのメッセージをお願いします。

ライターになるなら、いきなり独立するのではなく、まずは出版社か編集プロダクションに入られるのが良いのではないでしょうか。

仕事の流れを覚えられるのはもちろん、万一トラブルが起きたときは会社が盾になってくれますし、先達たちの知恵を借りながら原稿が書ける、編集ができる、ついでに業界の暗黙の了解にも精通できるなど、とにかくメリットが多いのです。

ただ、過酷な現場が多いので、心が折れそうになることも少なくないはず。そんな時に励みになるのが、友人に「これ作ったよ!」と胸をはって言えることだったり、この人たちのために頑張ろうと思えるチームだったりします。

だから、どうか「入れるならどこでもいい」と思わずに、自分好みのものが作れるのか、一緒に働きたい人がいるかどうかを見極めること。それが、会社の技術と人脈をしっかり譲り受けた上で独立する近道だと思います。

出版社に比べ、編集プロダクションは門戸を開いているところも多いですから、がんばってくださいね。

矢口絢葉さんのフェイスブックページはこちら
https://www.facebook.com/profile.php?id=100001713619501

LINEで送る
Pocket

【スポンサードサーチ】

インタビュー新着

おすすめ情報

【スポンサードサーチ】

新着インタビュー

カテゴリ一覧

タグ一覧