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工業塗装 竹村幸夫

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約40年も工業製品塗装の経営者をしている大一塗装株式会社の竹村さんへインタビュー

竹村さんが約40年もの経営の中で大切にしてきたこと

大一塗装株式会社の竹村幸夫氏

――竹村さんの年齢など自己紹介をお願いします。

大一塗装株式会社の代表取締役の竹村幸夫と申します。
現在の年齢は65歳となります。塗装業界に入ったのは22歳のとき、事務管理という形で前の会社へ入社しました。

――竹村さん自身が経営されて、いまは何年目くらいなんですか。

今年で39年目ですね。もうすぐ66歳になるのですが、27歳の時に経営者となりました。

――現在、代表を務められている会社とは別会社だったのですね。

前身の会社へ入ったという方が正しいです。当時は東京にある会社の羽田工場で塗装の仕事を引き受けていました。それが前身の会社です。

鈴鹿にも仕事が移転することになり、そこへ数名の職人を派遣して、現場の事務管理などをやらせて頂いてました。当時社内No.2の専務がのれん分けしてもらう形で独立して現在の会社となりました。

専務が社長就任後、後を管理できるのが誰もいなくて私が専務を引き継ぐ形で取締役として就任しました。

そして新会社としてスタートしたのですが、2年もしないうちに社長が体調を悪くして退任せざるをえなくなったことで、私が代表取締役として経営を引き継ぐことになりました。

経営のことは一切わからないまま、いきなり社長となって借金も抱えて経営状態も良くない状態からのスタート。

正直戸惑いもありながら、お客さんや納入業者さんに対して、取引をストップする訳にいかないので当時はがむしゃらになって働きました。

当時はお客さんなり納入業者さんにご協力して頂いたことで何とか運良く乗り切ることができました。

それから10年以内に会社の借金の返済できてその後は現状維持しています。

――その当時、借金は最大でいくらぐらいあったのでしょうか?

約4千万円です。何十年も前の4千万円なので現在より少しは価値的にはあったんでしょうけど、あくまで負債の価値としてその金額となります。

――40年近く経営している中で起きた大きなトラブルや失敗があれば教えてください。

業務上で大きい失敗はあまり意識していないですが、大きなトラブルとして取引先の倒産や廃業が現在までに3軒ありました。

そこで1千万円、4~5百万円といった大きな負債をかぶったことがあります。10年内にまとめて3軒続いて、その時が経営的にも一番厳しかったです。ちょうど私が30代半ばから40代半ばまでの間ですね。

――予想もしていないトラブルが起きたときにはどのように対応されましたか?あと、そのときの気持ち的な部分ではどうでしたか。

気持ち的には、倒産しかかった27歳前の時の心境とそう変わらないですよ。

ただ、このとき救いだったのはメインのお客さんの経営状態が好調だったことで、メインのお客さんにいろいろな面からご協力いただきました。

納入業者さんに対してもそれまで積み重ねてきた実績から信頼してご協力いただき何とか乗り切れました。

それ以外にも倒産防止共済にも入っていたので、資金的にはある程度、融資を無利子で借りることができたのはとても助かりましたね。

――倒産防止共済ということは掛金が最大で8百万ですよね。

そうです。昔はもうちょっと低くて4百万でした。その10倍までは借りられたのですが、そこまで必要ありませんでした。 当時、赤字の場合には繰り越しで赤字の税金の赤字分を払わなくて良かったので助かりました。

――お金以外のもので失敗した点などありますか。

普段の業務上は失敗だらけです。塗装に使う塗料選択の失敗、発注ミスなどですね。他にも期待していた仕事が思いがけずになくなっちゃったとかも失敗のうちに入ると思いますが挙げたらキリが無いですね(笑)

特に発注や受注に関しては現在ほど事業形態が整っていなくて、口頭やメモ書きでやり取りすることによるミスが多かったです。

電話中の聞き間違いや言い間違いとかね。そういう低レベルのミスが積み重なることが仕事に与える影響は大きかったですね。

その反省から現在はお客さんと一緒に書式を整えることでミスは減っていきました。

当時はパソコンもなかったため、メールではなくFAXでしたが、発注の確認も電話で行うのではなく、書式で行うよう変更しました。

さらにお客さんでも発注者を数名以内に決めてもらうとか、発注後に受注確認してもらうように細かい点を改善し続けました。

お客様以外にも、同じ理由から事務所スタッフと現場の職人とのやり取りが上手くいかず、間違った塗装を施してしまったこともありました。

塗装の膜厚に指定があるのですが、回数を少なく塗ってしまったり、逆に多く塗ってしまったとかそういうミスは当時多かったですね。ミスが積み重なることで納期ギリギリになってしまい、残業で無理やり間に合わせたケースも多々あります。

そういう事務所と現場の食い違いによるミスを防ぐために行ったことは、伝票を作って確認するようにしたこと。

あとは朝礼ですね。この朝礼が一番ミスを減らす原因になりました。朝礼で集まる中で各々の担当に日報を渡して、その日報を夕方回収することでチェックができる。

仕様書も直接、朝礼の時に渡して間違いないように仕事をしています。

しかし、いまでこそ朝礼を常に毎日やっていますが、当時は毎日できませんでした。私はあちこち動き回っていたので、私の補佐が付くようになってから、補佐に任すという形で毎日できるようになりました。

――朝礼は毎朝どれぐらいの時間をあてているんですか。

毎朝、体操が終わってみんなで集まり10分から15分行います。それで工場長が当日の仕事の内容を指示、日報と指示書も渡して、作業員の「確認しました」サインをもらう。その後に安全の指差呼称をすることで終わります。

――朝礼自体は誰のアイデアなのですか。

朝礼は、みんなが集まる場所ってそこしかないので、私がやろうと言いました。そこから発信しないと、「いつやるのか?」って話になりますからね。

朝礼はもう20年以上は続けているし、会社の仕組みをしっかりと整えるうえでのターニングポイントとなりました。

当時、5、6人しかいなかった職人の人数がどんどん増えていました。現在は下請けさんも含めて10数名まで増えているので、仕組みなしで個別管理するのは限界が出てきてミスも多発していました。

これが朝礼を導入することでほとんどミスがなくなりました。

――では失敗ではなく、成功したことや嬉しかったことは何がありますか?

お客さんが増えてきたことですね。こちらから営業でアプローチしたことで、一軒ずつお客さんが増えてきたのが、20年ぐらい前からの喜びでした。

お客様が増えることで求められることも増えて、相乗効果で従業員のモチベーションも上がり、職人たちの技術もどんどん上がっていきました。

「やっぱり、お客さんがいないと生きていけないんだな」っていうのが心の底からわかりました。

工場の中だけで仕事をしていると、毎日出てくる仕事を自動的にこなし、出来上がった製品をトラックが運びに来るのを繰り返すだけでお客さんとの接点がなかった。

ところが、お客さんが増えてくると、お客さんが来社してくれる。その中で工場も見学してもらえたり、現場との会話もあるから、色々な種類の仕事が入ってくる。

現場でお客さんとの接点が増えてくることで「会社には自動的に仕事が来るんじゃないんだ、お客さんあっての我々だ」と当たり前のことに、ようやく気づくことができました。

給料は会社から出るんじゃなくて、お客さんからもらっているんだという意識が従業員みんなの中に産まれました。工場以外で、仕事の芽が出てきたということが会社としては一番ありがたかったです。

あとは、成長できる環境を作れていたと気づいたときも嬉しかった思い出ですね。

竹田陽一さんのランチェスターっていう本を読みだした時、自分では意識していませんでしたが、「結果的にランチェスターの経営に似たようなことをやっていたんだなぁ」と思ったのですよ。

ランチェスター戦略の本やCD、ビデオを観たりすることで、ちょっと自信がつきました。

目指すのは1位だけど「お客さんの中で1位になる」「お客さんの協力会社同士の中で1位になる」といったように、目指すものがはっきりしていたということです。

厳しい現実だけど、大企業の資本力でやる世界と零細企業のやり方っていうのは違います。

零細企業は資本力がないので、全く反対のやり方をしないといけません。そのことに気づいたことは経営者として大きかったですしひとつの喜びだと感じています。

そのうえ20年前と違い、現在はIT技術が入ってきたことで、これはまた違う知識を順番に入れなきゃいけなくなりました。行動規範はいまでもランチェスター戦略ですけど、いつまでも周りの世界が同じとも言えなくなってきていますね。

いまはまだネット営業にそこまで力を注げていませんが、もっと本気で取り組むことでまた違う世界が見えると思います。

ただ、あまり調子乗って色々なことに手を出すのは怖いなという気持ちもありますね。

――経営者として大事にしているものがあれば教えてください。

一番大事なのは従業員です。経営的にはお客さんですけど、心情的には「従業員をどうやって守るか」「どうやって成長してもらえるか」、そして「次の世代へどうやって引き継ぐことができるのか」それが喫緊の課題となっています。

将来、私がいなくても従業員が仕事を続けていける状況をどうやって作っていけるか。そのために色々な情報を教えて、資金もあまり無駄なことをしないようにして会社の体力もつけながら、次の世代へ引き継ぐことが目的に近い目標です。

あとは、情報収集は常に大事にしています。次の世代5年後、10年後どうなっていくかということは常に意識しています。

――主にどういったことで情報収集をされてますか。

ネットと本ですが、ネットは年齢的にあまりピンと来ない部分もあります。田舎であることから周りで積極的に情報収集する人も少ないですしね。ペンキの仕事をやっている経営者の中にも若い人はいますが、まだ経験浅いことから目先の仕事で精いっぱいになっていますね。

そのことから業種や年齢関係なく色々な人とのお付き合い、情報を共有することを大切にしています。

あとは情報を取るだけではなく、こっちからも発信しないと勉強にならないので自分自身も常に新しいことは積極的に勉強しています。自分から発信することで「その考えは間違っているよ」と指摘いただけて新たな学びになりますしね。

――これから経営者になろうと思っている方やすでに経営されている方に対して何かアドバイスがあればお願いします。

同じことをやっているだけではやっていけない時代になってきています。そのことからも色々な人とのお付き合い、情報収集が大事だと思います。

あとは仕事ばかりじゃなく、自分が没頭できるほど楽しいことをたくさん作った方がいいと思います。これからは多様性を身につけないと生きていけない時代になってくると思うので、覚悟して自分を磨いていくことが大事です。

趣味とか教養の部分で自分を高めていくと、非常にプラスになるし、その中で色々な人と交流してお互いに発展して視野も広がっていきます。とにかく楽しくないとダメですね。

あと、家族を大事にしてあげることも大切で、そういった部分でも教養を磨くのが一番良いと思いますね。

――教養を磨くための手段や心がけていることがあれば教えてください。

人が楽しんでいるものを「それ何?」って聞いてみること、共有できるものがあればトライしてみるとよりいいですね。

トライしてみた結果、ダメならダメでOKです。いま以上に何か楽しめるものを探したら良いと思います。YouTubeを、見たり、友達がやっていることや、学生時代やっていたことへ再挑戦してみるとかですね。

多分ですが、学生時代やっていたことは純粋な気持ちで「ああ、これ面白そうだな」ってやっていたと思うんですよね。純粋な気持ちで楽しめていたのだから、いまやってみても楽しめる確率は高いと思います。

とにかく何か没頭するものをちょっと作ると、経営者としても自分の人生にとってもプラスになります。

仕事や遊びじゃなくても地域でボランティアでも構いません。ボランティア仲間同士の会話も出てくるし、横のつながりが大切だなと学ぶことができます。

横のつながりは縦のつながりと違って、利害関係あまりないから楽しいのです。お客さんとの上下関係、先輩後輩との上下関係はどうしても利害を意識するような場合があって自由度が少ないですしね。

縦よりも横のつながりの人を大切にした方がいいと思うし、年齢とか関係なく友達も増えていきます。

――竹村さんが20代の若い子たちも含めて年齢や性別関係なく、多くの方から慕われていますが、その理由がよくわかりました。経営者インタビューは以上となります。ありがとうございました!

ありがとうございました。

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