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インタビュー

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ICT支援員 塩畑貴志

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ICT支援員として2年間働いた男性へインタビュー

ICT支援員とは

ICT支援員として働いていた塩畑貴志さん

――自己紹介をお願いします。

パソコンの専門学校を出てからプログラマーとして2年半働き、その後、地元の教育委員会にICT支援員として採用されました。

現在はそのICT支援員の期間が終わり、フリーランスとしてICTを広める活動をしています。

教育委員会に所属していたときの、ICT支援員についてお話しします。

ICT支援員とは、IT、パソコンなどの機器、そういったものを使った仕事で、学校関係をまわります。

学校の先生は、パソコンは使いますが使いこなせない場合が多く、機器が職場に置いてあるだけであまり利用されていないことがあります。

ICT支援員は、そういった機器の操作について支援する役割があります。

応募したきっかけ

――この仕事をしようと思った理由は何ですか?

最初は特に理由はありませんでした。

プログラマーを2年半していた頃、深夜まで働くようなきつい仕事だったため、病気になってしまいました。

病み上がりだったので、定時で帰れて残業がないという条件に魅かれて、ICT支援員の募集に応募しました。

専門学校時代の先生の知り合いがハローワークにいました。プログラマーの仕事が終わったときに、その方にお世話になりました。

それから半年後ぐらいに、その方からICT支援員の条件がいいと思うと声をかけていただいて、紹介してもらえたのがきっかけです。

応募条件はパソコンの操作ができることということだけ、簡単に書かれていました。スキルについて細かい条件はありませんでした。試験もありませんでした。

面接はありました。採用人数は1人だけだったので心配でしたが、意外にも私を含めて2人ぐらいしか面接に来ていませんでした。

面接自体は普通の面接と同じで、出来ることや資格、経験について質問があっただけです。

採用通知はすぐに届きました。教育委員会は、市役所の中の組織なので、そういうところはしっかりしていました。すぐに連絡が来ました。

契約社員として就業しました。契約期間はまずは半年で、長ければ1年間続けられるということでした。実際には2年間勤めることができました。

研修はありませんでした。それまでに培った知識を使って切りぬけていきました。

服装は、基本的には市役所の職員と同じ公務員という扱いで、スーツ、清潔な印象など、ある程度の規定はありました。カジュアルな私服でなければ大丈夫でした。

ICT支援員の仕事内容、職場環境

――仕事内容はどんなことがありましたか?

最初はほとんど仕事がありませんでした。学校の職員の人たちは、私がどんなことができるかということだけでなく、ICT支援員の存在も知らなかったようでした。

最初は、ワードやエクセルの使い方が分からない先生が多いからマニュアルをつくってほしいという指示があり、ずっとマニュアルをつくっていました。

そのうち学校から相談されるようにもなって、どうしたらもっと役に立てるかなと考えて、自分で仕事をつくっていきました。

上からの指示はほとんどなかったです。自分1人で動いて、学校というお客様のところに要望を聞きに行って、では私がこうしますというところを確立させました。

主に、パソコンが動かなくなりました、こんなときはどうしたらいいですかということや、通知表や成績、テストに関する業務に使われている校務支援ソフトの使い方が分からない、という要望が多かったです。

そのため学期末あたりは忙しく、何校も移動して訪問していました。

面接での採用枠は1人だったので、私1人でずっとやっていました。機器の管理をしている方たちの部門に所属していたので、その方たちに相談したことはありました。

その人たちでも解決しない場合は、業務提携をしているN社、H社、の方たちと話しました。

仕事で求められること

――この仕事で求められることはどんなことですか?

要望を学校の職員の人たちから聞き出して、受けられる依頼は何でもすることです。

まず認知されていない職種なので、こんなことも頼んでいいのだと学校の職員の人たちに知ってもらうようにしました。

それを理解してもらえた人からは色々なことを頼まれました。信頼や関係を築けると、授業に出てほしいという依頼も受けることがありました。

仕事の内容は私に丸投げの状態で、授業に入ることも多かったです。

話をする機会が少ない人からは、求められることは少なかったです。そういった差があるので、その差をどう埋めようかということは、常に考えていました。

主体的に動いて、21校かけもちで担当

――仕事にはどのくらいで慣れましたか?

半年くらい経ってから、空気というものは何となく分かってきました。実際に仕事の幅が広がったのは1年ぐらい経ってからです。

信頼を得ても、自分の仕事の狭さ、ここまでしかできないということが実感できたのはその頃です。

その頃から、自分から仕事の幅を広げていこうと、自分自身で仕事をつくるようにしました。

工場勤務だとか、そういった体力が必要なわけではないですが、この仕事はやり方が様々あるようで、私は1人で21校をかけもちしてしました。

1人で何十校もかけもちをしているのは珍しいようです。企業でもこういった職業がありますが、企業の場合でも基本は1人1校を担当して常駐しているようです。

私のように、いろんな依頼を何校からも受けて、行ったり来たりしていることはなかなかないようです。1人で予定を組んであちこち回っていたことは大変でした。

役に立てているということは実感できたので、体が疲れても清々しい疲れというか、あまりつらいとは思いませんでした。楽しいと思いました。もっと早く仕事に行きたいという気持ちになれました。

エクセルで予定表、ツールのようなものを自分で作成して予定管理

――スケジュール管理はどのようにしていましたか?

エクセルで予定表、ツールのようなものを自分で作成しました。

担当している各学校を順番に回って訪問していました。訪問して話を聞くと、「ちょっと困っていた」と言われることが多かったです。

それなら電話で連絡してくれればいいのにと思いました。現地に行かないとなかなかそういう話が出てこないので、それならと時間を作って訪問するようにしました。

この時間だったら来てもいいというのを予め学校から提示してもらって、その印が付いているところに合わせて、この学校には〇時~〇時間までの予定で訪問するというように、ある程度設定して行くようにしました。

1時間、2時間は余裕を持たせてあるので、もし急遽ほかの学校から電話がかかって来たときには、連絡のあった学校へも行くようにしました。うまく対応できたと思います。

学校が忙しい時期、学期の始めと学期末、年度末などは、通知表などの校務が重なってくるので忙しいです。

私は予約を取って学校を訪問していましたが、その予約が入っているときでも他校の人からちょっと来てほしいと言われることがよくありました。

1人で仕事をしているとそういうときに柔軟に対応できないので、つらかったです。

1週間のうちでどこが忙しかったかというと、どの曜日も忙しかったです。時間では夕方から夜にかけて忙しくなります。

学校の先生は、朝、パソコンを開くということをあまりしないです。そのまま教室に行ってしまいます。

職員室やデスクに戻ってくるのは、児童、生徒が帰ってからで、それからパソコンを開くので、夕方から要望が増えます。

残業になること、ほぼなかったです。2年間勤めましたが、その間で2、3回だけです。必ず帰れと言われていました。定時にはしっかり帰らせてはいただけました。

教員や子どもの役に立つことが楽しい

――この仕事で、楽しいと思えることはありましたか?

常に楽しいと思っていました。学校の先生は、ほめ上手な方が多かったです。問題解決をすると「さすがですね」と言ってもらえます。そう言われると、もっと何かやってあげたくなりました。

授業の支援をするときは、ICT支援員は講師免許があるわけではないので、私1人では授業に入ることはできず、担任や教科の先生と一緒に入って授業をします。

そういう先生がたと一緒に授業をしたときに、子どもたちが私の名前を呼んでくれたり、前の授業で教えたやり方をしっかり学習しくれたりして次に生かしてくれている時は最高でした。

――憎たらしい子どもさんはいませんでしたか?

いました。「それ、俺、知ってる」と言う子はいました。そういう子は、パソコンに関しての知識のレベルが高いです。

授業の内容は、一番基本的なレベルに合わせます。そうでないと、全くついていけなくなってしまう子がいるからです。

よく知っている子には、「これ、分かる人?」と聞いて、率先して手を挙げてもらうようにして、対応しました。

ICT支援員の仕事をしていて困ったトラブル

――仕事をしていて、困ったトラブルはありましたか?

電話での対応が多かったですが、状況が読めないときが困りました。電話では、パソコンの画面の状態が分からないです。

頭の中で、画面を想像しながら対応するのですが、電話をしてきた先生も、どういう状況になっているのか説明ができなくて、その画面の名前やどうやってそうなったのかが分からないことが多かったです。

パソコンで、今、見えている画面でさえも説明できないことが、学校の先生には多いです。そういうときは、直接見るために現地に行ってしまったほうが早いこともあります。

それからちょっと面倒ですが、教育委員会にお願いをして、ネットワーク経由でそのパソコンを直接操作させてもらって、状況が分かって対応できたということがありました。

管理職からの依頼が多い

――1人で21校かけもちしていたそうですが、予定していた時間に訪問できなかったり、予定がかぶってしまったりしたことはありませんでしたか?

かぶることはありましたが、日程をずらして、別の日程を設けてうまく対応することはできました。なんとかはなっていましたが、全員の要望どおりに応えることは難しかったです。

依頼は、管理職の方からが多かったです。校長、教頭、教務主任、事務の方たちからです。ほかの先生たちは結局私ではなくて教務主任の先生に相談しに行って、教務主任の先生が私に相談する、そういう流れができ上がっていました。

必要な資格、勉強

――仕事をする上で、何か、資格や特別な勉強をする必要はありますか?

予習のようなものは特には必要ないです。パソコンの知識はある程度はあった方がいいと思いました。

特に、ワード、エクセル、パワーポイントといったものは操作方法を教えなければいけないですし、分からないと説明することができないので、勉強しておく必要があります。

あとは、一番必要なのは誠意を持って対応することと、誠実さが重要だと思います。それができないと、次から相手の事を依頼しなくなったり、パソコンを使うような仕事に対して投げやりになってしまったりする思います。

ほかの人には頼めないけど、私なら頼めると言ってくれる人もいました。誠実さや、何でも話に乗ってあげられるようなところが必要だと思います。

授業をする上で、どうしたら児童、生徒が覚えやすいかということなど、アイデアを提案する力がいると思います。

学校の先生は忙しくて、それを考える時間がなかなかないようです。そこを提案することで、うまく授業がまわったり、効果的な授業ができるということがありました。

――働く上で参考になる書籍やホームページはありますか?

この仕事をする上では、パソコン関係であまり分からないなら、まずはワードとエクセル、パワーポイントは知っておかないといけないです。

学校で導入されているソフトは学校によって違います。教育委員会側で統一しているならその1つを学べばいいですが、学校独自で入れているものも多いです。

それについて分からないという質問もあるので、ぱっと見て判断し、臨機応変に対応するのが難しいです。とりあえずは、必ず導入されているソフトのマニュアルは読んだほうがいいと思います。

あとは、マナーと一般常識です。

ICT支援員の勤務時間や収入

――1日の勤務時間は、どのくらいでしたか?

朝8時半に始まり、17時15分で終わりました。片づけも入れてちょうど8時間ぐらいで終わりました。

17時15分の終業時間まできっちり仕事に取り組んでいると、帰る時間は18時前ぐらいになることはありました。

土日祝は必ず休みでした。でも学校では先生がたはそういった日でも出勤していて、「休みの日にすみません」と電話がたまにかかってくることはありました。

訪問することはありませんでした。先生がたにもその辺りは理解していただけていました。

休日でも、機器のトラブルはもちろんありました。そういったときには市役所の職員の方たちが対応してくれていました。

申し訳ないと思いましたが、その点は楽をさせていただきました。休日はしっかり気分転換をして、月曜に備えることができました。

長期休暇は、基本、カレンダーどおりで休みをいただけたので、ゴールデンウィークなどもほとんど休みでした。

――収入はどのくらいでしたか?

私は手取りで20万円ちょっとでした。時給は1500円で、破格でした。私が住んでいるところは田舎で、最低賃金が時給700円手前ぐらいです。時給1500円というと、ものすごくいい仕事です。

ボーナスは出ないです。契約社員だからだと思います。ボーナスはないし、昇給もないです。教育委員会に勤めているために生じる問題です。

企業に勤めている場合なら、昇給、ボーナスもあると思いますが、給料はだいぶ安くなると聞いていました。

ICT支援員として働くうえで注意するべきこと

教育委員会直属なので動きやすい

――働いてよかったと思うことは何ですか?

プログラマーをしていた頃は仕事がつらくて、会社に行きたくないということばかり考えていました。

ICT支援員の仕事は楽しかったです。今まで、仕事というのは、嫌なことを我慢しながら頑張ることだと思っていました。

ICT支援員の仕事をしたら、そんなことは決してなく、楽しいことだと思えて、もっと役に立ちたいとか、それならもっと知識を増やそうとか、どんどんポジティブになって、自分自身の成長も感じられました。

そういうところが、働いてみてよかったところです。

種別も関係なく言うのであれば、この仕事は最高だと思います。土日祝は休みですし、仕事はやればやるほど、さすがですねとほめてもらえますし、時給はそんなに悪くないです。

私は教育委員会の直属だったので、すごく自由に動けて話もできました。仕事がしづらいということは、ほとんどなかったです。

企業の仕事でこの職業に就くと、制限が結構あるようです。この仕事をしてほしいと学校から依頼があっても、規則でできないと役に立てないことが多いとも聞きます。

そういうことを体験しなくてよかったと思います。

――働いて不満だと思うことはありましたか?

仕事自体には不満なことはなかったです。私にとっては、正社員で働けるなら、多少給料が下がってもいいから、ずっとやりたいと思うぐらいの仕事でした。

この仕事は職業として認められていないところがあって、契約社員という雇用形態になってしまいます。そういうところが認められていないのが残念でした。

学校では、この職業は絶対に必要だと言ってくれる人もいましたし、パソコンをあまり使っていない人でもそう思うようでした。

そういう職業なのに、国の予算の関係で契約が切られてしまいます。私も国の予算がなくなったからということで契約期間が終わりました。

国がもっと積極的に支援できる体制が整って、職業として確立できればいいなと思いました。

今は超高齢化社会というのもあって、そのための予算をどうするかというのもありますが、この職業に関して言えば予算の関係で終わってしまうのがもったいないと思います。

国の予算がカットされてしまうと、市役所の財政課がその職業に価値を見出してお金を出すかどうかにかかります。

パソコンぐらい使えるでしょ、と思ってしまうようです。使いこなせているかというと、そうではないと思います。その点が理解されないのが残念です。

いい仕事だったと思います。学校の先生もフレンドリーに接してくれます。市役所の職員の方たちも物腰が意外と柔らかくて、環境はとてもよかったです。

国の方針で予算カット

――教育委員会から、2年で契約期間の終了ということを告げられたのですか?

そうです。最初は1年で期間が終わるはずでしたが、1年目は学校側からの要望で動いたんです。国の予算も続いていました。

2年目の切り替えのタイミングで、民主党から自民党に変わったとき民主党がその事業について継続しないと決めていた意向が残ってしまったようで、予算カットになりました。

私から辞めると言ったわけではないです。私は続けたいと思っていて、アンケートを採ったぐらいです。

学校に対して、この授業は必要だと思いますかということや、どうしたらもっといい支援ができると思いますかということなど、1年に1回は調べようと思って、アンケートを実施しました。

1年目は、それほど支援できていないにも関わらず、90%ぐらいの方が必要だと思ってくれていたようです。

2年目は、この事業が必要じゃないとか多分必要じゃないという意見の人は1人もいなくて、100%の人が継続してほしいという意見でした。

市内に学校の先生は600人ぐらいいましたが、その人たちが100%継続してほしいという事業を削らなくてはいけないというのは、どういうことなのかと思いました。

需要は確実にあるんですが、とても残念だなと思いました。

向いている人、向いていない人

――働く上で注意するポイントは何でしょうか?

私は子どもの頃、学校の先生はお堅い人が多いと思っていました。実際、仕事を一緒にしてみると、堅い感じが苦手な人が多いという印象でした。

最初はしかたないので、はじめましてだとか格式ばったこともしますが、ある程度過ぎてしまえば、フレンドリーに接した方がより効果的な支援ができる、やりたいことを聞き出せる関係が築けると思います。

最初は私もドキドキしながら行きましたが、校長先生がフレンドリーに「給食を食べて行けよ」とか言ってくれます。給食費を払っていないけどいいのかなと思いながら、給食をいただきました。

――この仕事に向いている人、向いていない人はどんな人でしょうか?

こんな些細なこともできないのか、と思う人は、向いていません。

学校の先生は、すごく些細なことで困っています。例えば検索についてです。ホームページは検索できるけど、文書の中の文字を検索できないとか、そういう些細なことができないことが結構あります。

どんな小さなことでも、何度でも親身になって対応できる方は、向いていると思います。

ICT支援員という仕事に興味がある人へ

――ICT支援員という仕事に興味がある人へアドバイスをお願いします。

まずは、ほとんどは期限がある雇用形態だということと、正社員になりたいなら、市役所で募集しているものではなくて企業からの募集を探したほうがいいと思います。

それでも、今も、正社員でも人員カットはされているようで、それぐらい生き残りが厳しい分野です。

人の役に立つこと、本当の仕事の楽しさ、やりがい、自分の成長を実感できる仕事だと思います。

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